新潟日報「甘口辛口」コラム執筆⑨

新潟日報「甘口辛口」にコラムを執筆させて頂きました。著作権の都合上、紙面の画像掲載が出来ない為文面を掲載致します。

 

2021年4月28日(水)掲載

「すりすりリンゴ」

小さい頃、よく風邪をひく子どもでした。いつもへんとう線が腫れて熱を出していました。そんな時母が作ってくれたにがすりおろしたリンゴでした。すぐに変色し。見た目がドロドロしたその物体・・・。外見はよくありませんでした。

しかし、一口食べると口いっぱいにリンゴの香りが漂い、喉の痛みは和らぎました。そして熱のある体はなぜか心地よくなりました。病気は嫌だけれど、この「すりすりリンゴ」を食べられると思うと、少しうれしかったです。

40年ほど前の事なのに、食べ物の記憶はパズルのピースをはめ込むようにはっきりと覚えているから、不思議です。大人になった今、風邪をひいてもすりすりリンゴを食べる事はなくなりました。でも、いざ作ろうと思うと手間のかかる作業だと知りました。いつも忙しかった母が、病床の私のために作ってくれていたと思うとうれしくなります。健康だけど、リンゴを買って作ってみようかな。さて、おろし金、おろし金~。